日本のしきたり

【日本人の自然観と信仰】
季節の移り変わりを自然現象から読取り日常生活を営んできました。日本人は自然現象や山川草木に神を見出して敬い共同体の結束をはかってきました。そんな時間・自然・信仰に対する独自の感性は日本の伝統的なしきたりや年中行事の根底に息づいています。
(こよみ):旧暦・新暦 二十四節気 七十二候 十二支
    詳細⇒「詩吟ミニ講座」→詩の主題
しきたり
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分類名 称画    像解     説
信仰八百万(やおよろず)の神画像の説明日本の神は唯一絶対神ではなく、あらゆる自然万物に神が宿るとする原始信仰(アメニズム)で、古事記には天照大神が弟のスサノオノミコトの乱暴さに腹尾を立て天の岩戸に隠れてしまい、困った神々が「八百万の神 天の河原に神集い集いて・・・」という記述がある。現在ではクリスマスも祝う?
神と仏画像の説明日本には神道と仏教が共存しており両者の使い分けが出来ています、大陸伝来の仏教は聖徳太子以降に国家鎮護として急速に浸透し「神仏習合」「本地垂迹」の思想が生れた。明治政府の神仏分離令により禁止されたが、いまなお残っている
伊勢神宮出雲大社
伊勢神宮(内宮)
垂仁天皇の創建によるもので主祭神は天照坐皇大御神(天照大御神)本殿は唯一神明造(ゆいいつしんめいづくり)
出雲大社
創建は神代で主祭神は大国主命  本殿は大社造
氏神と鎮守画像の説明「困ったときの神頼み」といわれるが、氏一族の祖先を祀った守護神でしたが荘園制度の確立に伴い、土地の鎮守となった
神棚神棚家の中に神を祭る宮を設置し、お札・榊・灯明・御饌・神酒を献じて拝礼する。これは江戸時代に伊勢講が組織され大神宮札が家ごとに奉安されるようになってからである。
拝礼は神社参拝と同じ「二礼二拍手一礼」
仏壇
本尊
仏壇
曹洞宗の例
本尊
神棚とともに家庭で仏像・位牌・過去帳を安置して祀る厨子を云う。信仰する宗派により仏壇や本尊が異なる場合が多い
年忌(ねんき)年忌人の死後、毎年巡ってくる祥月命日(しょうつきめいにち)で「回忌」とも云い追善供養の法要が営まれる。1・3・7・13・17・25・27・33・50・100回忌とあり、3・7・13回忌までに墓石を建立する。宗派にもよるが普通は33回忌で「弔い上げ」として仏事を打切り、これを機に祖霊となり子孫を見守ってくれると信じられている。
参照⇒法事・法要・四十九日
巡礼(じゅんれい)巡礼聖地・霊場に詣でる巡礼は世界の主要な宗教に見られる。日本では空海ゆかりの霊場八十八ヶ寺を巡る「四国八十八所お遍路」が有名ですが他に「西国三十三所」「秩父三十三所」「坂東三十三所」など各地に霊場巡りがある
ハレとケ画像の説明普段の日常生活を送る日を「ケ(褻)」の日と呼び冠婚葬祭などを行う日を「ハレ(晴れ)」として生活に変化とケジメをつけてきました。「ケ」の生活が順調にいかなくなることを「木枯れ(ケガレ)」とし禊やお祓いをしました。「晴れ着」「晴れ姿」「晴れ舞台」などの言葉が残っている
厄年(やくどし)厄年
【数え年】生まれた時を1歳とし、正月を迎える毎に一つ年を取ります
災難や不幸に出会うことが多いとされる男女の年齢を指す。陰陽道の考えに基づくもので体調・社会的役割面で大きな変化が起こりやすいため未だに影響を与えている。神社や寺院で厄払いや厄除け祈願をする人も多い。数え年早見表⇒クリック
絵馬(えま)絵馬神様が馬に乗って人間の俗世界に降りてきたという伝説があり、お盆になるとキュウリやナスに割り箸を刺して馬形飾りを作ったりします。家内安全・商売繁盛など祈願の風習が広まった。現在では合格祈願の絵馬奉納が盛ん
百度参り百度参り神仏への願掛けに寒中に滝に打たれたり井戸水をかぶる水垢離などの荒行があります。お百度参りは神社仏閣の間を一日に100往復詣で、「百日詣」は100日間の毎日詣でです。また千度参りや千日詣もあり、回数や日数を決め厳守することで満願成就につながると信じられております
賽銭(さいせん)画像の説明神社・寺に参詣して奉納する金銭。古くは「散米」といって米を撒く場合と洗米を紙に包んで供える「おひねり」があった。
縁起大安・仏滅画像の説明古代中国の暦「六曜」に基づいており、三国志で有名な諸葛孔明が戦いの吉凶を知るのに利用したことに端を発している。新暦の採用により暦注は禁止されたが、まだカレンダーなどに使用されている
干支

十干(じっかん)
十二支(じゅうにし)
十干
十二支
十干と十二支を組合せたものを干支(えと)と云い年・月・日・時刻を表わすもので十干十二支とも云い中国・殷時代に生まれた一種の記号。干支の組合せは61で一巡して元に戻る。後に陰陽説・五行説が結びつき世界のあらゆる事象を理解するキーワードに使われた。日本に伝わってから陰陽道と強く結びつき人の運勢や方位の吉凶などかずかずの迷信を生むに至った
参照⇒詩の主題?
恵方(えほう)恵方
恵方(年・場所で)ここをクリック
「吉方」「明きの方」とも云い、その年の最も縁起がよいとされる方角。中国伝来の十干十二支が陰陽道によって日本で独自に展開され、方角にも吉凶があるとされた。寺社参詣にとどまらず外出・転居・旅行・縁談・家屋の建築など生活全般に亘っており迷信として公には排除されたが、なお影響力をもっている。恵方とは反対に不吉な方角が「鬼門」で日本独自の俗信である
鬼門(きもん)鬼門中国の伝説で、北東の度朔という山に桃の木があり万鬼(全ての死者の亡霊)が集まるとされた。日本に伝わると方角禁忌の考えが加わり北東の方角を避けるようになった。「表鬼門」「裏鬼門」があり玄関・便所・風呂場などを造ることを忌み嫌います
鏡餅(かがみもち)鏡餅
三種の神器「八咫鏡」を模った
宮中の「歯固め」儀式が由来。昔の鏡が円形だったことと月(陰)日(陽)の重ねで縁起が良いと考えられ、半紙を敷いた三宝に載せダイダイ・ユズリハ・昆布を添えるのが一般的。大晦日につくのを一夜餅・29日につくのを苦餅と云って嫌う
門松門松
木の梢に神が宿るといわれる
門前の左右に一対並べるのが一般的、左側が雄松・右側が雌松。年神様が降りてくるときの目印が始まり、さらに節を伸ばす竹が長寿を招く縁起物として添えられるようになった。一般的には松の内(1月7日)まで立てる。
注連(しめ)飾り注連飾り
禍神を祓うまじない
門松と同じく年神様を迎える準備、ウラジロは常緑葉であることから長寿を・ユズリハは家系を「譲って絶やさぬ」という願い・ダイダイは家が代々栄えるという縁起物。
屠蘇(とそ)屠蘇
無病息災を祈って飲む
家族一同が新年の挨拶を済ませて杯を廻して飲む習わし。お神酒と同じ日本酒と思われがちですが、中国唐代から飲まれている薬酒で「悪鬼を屠り 死者を蘇らせる」という意味がある
御節(おせち)御節
節句に神前に供える
もともとは節句(節供)に年神様に供える料理。家族の繁栄を願う縁起ものの家庭料理、日持ちする素材で作り年賀の来客にも出せるように重箱に詰めておくのが一般的
雑煮(ぞうに)雑煮年神様に供えた餅を野菜・鶏肉・魚介などを一緒に煮込んだもので「雑煮餅」とも云う。
関西風・関東風などある
お年玉(おとしだま)お年玉もとは年神様からの贈り物で年神様に扮した村人が各家を廻って丸餅を配った習わし。お年賀と違い年少者や自分より地位の低い人に贈る
初夢初夢正月二日に見る夢で、昔は年初めの行事が2日であったことから来る。中国の「夢を食う」獏の絵を枕下に入れ吉夢を見ようとした故事から、日本では七福神を乗せた宝船を入れるようになった。
1.富士・2.鷹・3.茄子
(みく)画像の説明「御籖」「御神籖」と書き神意を伺うことで、”神仏の配慮は公平”また”偶然は公平”という考えから生まれた。他に「あみだくじ」があるが、元は阿弥陀仏の光背のように放射線上に線を描いたことから発生した
神輿(みこし)画像の説明揃いの法被にねじり鉢巻で神輿を担ぎ町内を練り廻る姿は、まさに日本独特の風物詩です。各地に様々なスタイルが生まれ、神輿を揺さぶったり・ぶっつけたり・海や川に入れるといった神霊も驚くような祭りが見られます
縁日(えんにち)画像の説明誰にも幼い頃に金魚すくいや綿飴などを買って遊んだ懐かしい思い出があります。文字通り神仏に「縁のある日」で、多くの神社・寺には特定日があり8・12日は薬師、18日は観音、24日の地蔵や干支により寅:毘沙門天、午:稲荷、庚申:帝釈天など。参詣者を目当てに商人の市が立ち門前市へと発展していった
七福神画像の説明日本の恵比寿神に、中国の福禄寿・寿老神・布袋尊やインドの大黒天・毘沙門天・弁財天が加わって信仰されるようになった。これは中国の「竹林の七賢」の故事にあやかっている
ダルマ画像の説明商売繁盛や隆運の縁起物として神社やお寺の縁日などで売られる。禅宗の始祖・達磨(だるま)大師(円覚大師)の座禅姿がモデルで願を掛ける際に片方の目を黒くしておき、願いがかなったときに他の目を黒く入れる。
招き猫画像の説明商売繁盛や金運・お客を呼び込む置物として用いれられている。由来には諸説があるが昔から猫は不思議な魔力を持つ動物と考えられてきた。右手を挙げている猫は金運を、左手はお客を呼び込むと云われる
手締め画像の説明物事が無事終わった後「お手を拝借!」の掛け声につづきシャンシャンシャンと手締めの拍手をして解散することが行われる。もとは争い事でもめた同士が和解する際に、お互いが刃物などを持っていないことを示すために指を開いて拍手したことに始まるとされる。一本締めは三本締めの省略形
清め塩画像の説明塩には不浄やケガレ祓い・清める力があると考え、神聖な場所に供えたり仏事の清め塩として用いられてきた。人間が生きていくうえで欠かせないミネラルで防腐効果があり、地鎮祭や相撲力士の土俵での塩まきにも使われている
祝い事七五三
画像の説明
11月15日に3歳に成った男女・5歳になった男子・7歳になった女子の成長を祝い、晴れ着を着て氏神神社でお祓いを受ける行事。地域によっては男女の年齢区別をしない所もある。千歳飴は浅草寺境内で売られていたものが全国的に普及した
十三参り画像の説明数え年13歳になった男女の通過儀礼として旧暦3月13日前後に虚空蔵菩薩を祀る寺に親子で参る行事。13歳は干支では二順日(年男)に当り男の子は「半元服の祝い」女の子は初潮の時期と重なり初めての厄年にも当る
成人式画像の説明男女とも満20歳になると成人と認められる。古くは「元服」という男子の通過儀礼で「元」は首「服」は着用の意味で、男子は父親や烏帽子親から烏帽子を被らせてもらい一字をもらって改名した、女子は13歳頃から初潮を迎えるなど大人の条件を備えると髪上げをして裳を着てお歯黒・眉墨が許され留袖を着るようになった。
還暦(かんれき)祝い画像の説明昔は短命で40歳になると一族が集まって祝宴を開き、その後も十年毎に「年祝い」をした。数え年60歳で干支を一回りして「生まれ直すこと」を祝い、赤ちゃんの赤頭巾とちゃんちゃんこを贈って無病息災と長寿を祝福した
長寿祝い画像の説明還暦に続く長寿の祝い。中国の詩人・杜甫「曲江詩」の”人生七十古来稀なり”に基づく。数え年に因るが現在では満年齢も使われる。賀寿・寿賀・算賀ともいう
三三九度画像の説明
画像の説明
新郎・新婦がお神酒を飲み交わして結婚を誓い合う神式独特の儀式。大中小の三重盃のうち新郎が小盃(一の杯)を両手で受取り巫女に三度に分けて注いでもらい、一口目・二口目は口をつけるだけで三口目に飲干す、続いて新婦も同じ手順。中盃(二の杯)は逆に新婦・新郎が小盃と同手順。最後の大盃(三の杯)は小盃と同じ手順。合計九回繰返すことから三三九度と」云う。奇数三は縁起の良い数字(陽数)とされてきた。
引出物画像の説明宴席に招待した客に主催者から物品を贈る習慣。馬を引き出して贈ったのが語源。時代とともに品物は刀剣・弓矢・砂金・銭・鶴・鯉・茶・昆布・鰹節・落雁菓子などに広がっていった。
地鎮祭(じしんさい)画像の説明家や建造物を新築する際、土地に宿る神霊を鎮めるために安全祈願をする。古くは陰陽師が祝詞をあげお祓いをして、お神酒を盛り砂の上にかけ施主が鍬入れをしましたが、現在は神主が中心で行う。
棟上式(むねあげしき)画像の説明家の骨組みが出来上がって棟木を上げ神霊に感謝する儀式で、現在では棟梁が中心となってとび職や左官の手で行う。儀式後に酒宴を催し施主は祝儀を渡し労をねぎらう。
贈答初物(はつもの)初物季節に初めてとれた野菜・果物・魚などの食べ物。生産者は「初穂(はつほ)」として神仏に供えた。なかでも初鰹・初鮭・初茄子・初茸は「初物四天王」として珍重された。現在は栽培技術・保存法の進歩で季節感が少なくなったが「旬」を大事にしたい。
中元(ちゅうげん)画像の説明本来は中国道教の祭日「三元」の一つであったが、現在では日頃お世話になった人に贈る贈答習慣になった。一般には7月上旬~8月15日頃の時期に贈る
歳暮(せいぼ)画像の説明もとは年の暮れに年神様や祖先の霊に米・餅・魚などを供えたのが供物を贈る習慣に変わった。塩鮭や塩ブリは「年取り肴」といわれ年越しの食膳には必ず出された。現在は日ごろ世話になった人に贈る慣習になった。
水引き画像の説明丁重な贈り物の包み紙にかけたり結んだりする紙紐。「しめ縄」の変化したもので「水のりを引く」という語源に由来し、進物の目的によって水引きの色や結び方がいろいろある。
慶事】:紅白・金銀・金紅で3本または5本を「両輪結び」「蝶結び」
弔事】:黒白・藍白・白・銀で2本または4本を「結び切り」「あわび結び」
熨斗(のし)画像の説明水引きと同じく進物の右上に張り付ける。もとは「熨斗アワビ」の略で「火熨斗」(昔のアイロン)のことで祝儀用の生臭物であることの印。
弔事などの不祝儀袋には付けない
手紙手紙と葉書画像の説明礼儀を重んじる日本人にとって、書式・文体・言葉遣いなど細かな心配りをしてきました。元来、手紙とは封書を指し葉書は略式です、「端書」とも書くように「端」である紙片に書き付ける覚書であり、簡潔・便宜的な手段です
表書き画像の説明【宛名の敬称】
様:最も一般的
殿:公文書・ビジネス文
御中:会社・団体・組織
各位:複数の人宛
役職名:殿・様は不要

脇付け:侍史・机下・御前・御許
裏書き画像の説明【封印】「〆」「封」「緘」
慶事の場合は「寿」「賀」もある
差出人名は封書の継ぎ目上に書くのが正式
頭語と結語画像の説明頭語】:冒頭に書く言葉
拝啓・謹啓・急啓・前略・冠省
女性はあまり使用しない、弔事には省略
結語】結びに書く言葉
敬具・敬白・草々・かしこ


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